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勉強の成果が出るのは

  • 三輪塾長
  • 2024年3月9日
  • 読了時間: 7分

勉強量と、その成果が模擬試験や本番の入試で目に見える形で現れてくるまでの関係を説明します。


 勉強した時間数と、成績の上昇が一次関数のように直線状に比例しているのであれば本人にとっても励みになります。たとえば10時間勉強すればそれなりに上がり、50時間すれば10時間したときの5倍の成果が目に見えるといった形で現れてくるのであれば、誰でもやる気を持続できると思います。しかし実際の勉強はこのような形では現れてはきません。


 たとえば英語を大変苦手にしている受験生A君がいるとします。高校2年の4月頃、模擬試験の偏差値が40位のところをうろついているといったレベルです。このA君が一念発起し、英語の問題集や参考書、単語集などを数冊買ってきて、4月からコツコツとこなしていったとします。このとき、どのような教材や参考書、問題集を使うかで、その後大きな差が出るのですが、ここではごく標準的な、一般書店で市販されている問題集などを使ったとします。


 毎日英語に2時間はかけたので、4月からはじめた問題集も7月の中旬、夏休み前には一回終わりました。この間、ざっと150時間くらいは英語に費やしたはずです。このA君がこの時点で模試を受けたとします。偏差値はどのくらいになると思いますか? 3ヶ月程の間に150時間も掛けたのですから、65位になっているでしょうか。


  現実は厳しく、おそらく偏差値は相変わらず40くらいのままでしょう。上がってもせいぜい42~43です。A君と同じようなケースの人が100人いれば、80人くらいはこのようになります。


  ここで大抵の人はショックを受け、やる気をなくしてしまいます。あれだけ勉強したのに、どうして全然点が取れないのだろう……。よほど自分には英語の才能がないのかしら……、それとも生まれつき頭が悪いのだろうか……等々、いろいろ思いあぐねたあげく、しばらく英語から遠ざかってしまいます。そして数ヶ月が過ぎ、また気を取り直して一から始めるのですが結果は前回と同じです。


  あなたも思いあたりませんか?このA君に限らず、中間・期末といった定期テストではある程度点が取れるのに、模試などではまったくと言ってよいほど点が取れなくて困っている受験生は大勢います。


  私はこれまで過去30年間、数多くの受験生を見てきました。入塾希望のとき、面接をすると、今のA君と同じような経験をしている受験生が少なくありません。自宅でコツコツと勉強を続けてきた高校生でも、高校のはじめから大手の予備校に通っている生徒でも同じです。


  実はこのA君に限らず、多くの受験生は、あるちょっとした法則を知らないため、このようなことになってしまうのです。 端的に言えば、A君が続けてきた勉強、つまり3ヶ月ほどかけて文法、英文解釈、単語などをやったとしても、1回目がひととおり終わった時点では、成績はほとんど顕在化しません。目に見える形では現れてこないのです。ではどうすればよいかといえば、続けて2回目の勉強に移るのです。同じ教材を繰り返して、もう一度最初からやるのです。そしてそれが終われば3回目です。大事なことは1回目と2回目、3回目の間に空白時間を作らないことです。


 そして大抵の場合、3回目が終わった時点で成績は飛躍的に上がります。どのくらい上がるかは、個人の能力や、他の教科との関係もあるのですが、この時点で目に見えて伸びて来ます。たとえば英語が大変苦手で、他の科目、数学や国語の偏差値が最初から60を越えていたのでしたら英語もそのくらいにはなるでしょう。入試に必要な教科がすべて偏差値が40代というのでしたら、さすがにすべての科目を一斉に上げるのは厳しいのですが、それでも3回繰り返した時点で、はっきりと目に見えるくらいまで上がってきます。


  同じ教材を3回繰り返す必要があると聞けば、1回目の3倍の時間が掛かると思うかも知れませんが、そうではありません。1回目に150時間掛かったのであれば、2回目は半分の70~80時間で終わります。3回目は30~50時間くらいで終わります。2回目、3回目を合わせても100時間程度のことであり、1回目よりも少ないのです。100時間といえば、1日3時間やれば1ヶ月ほどで終わることの分量です。


  A君の場合、夏休み前に1回終わったのですから、その後すぐに2回目、3回目を夏休みの間に続けていれば、秋の模試ではかなり伸びていたはずです。


  これは英語に限りません。数学でも理科でもどの教科でも同じです。つまり1回目が終わった段階では、自分自身がどこがわかっていて、どこがわからないのかもまだよくわからない状態なのです。2回目が終わった時点で、やっと自分のわかっているところと、わかっていないところが自覚できてきます。そして3回目でやっと全体が見えてきて、すっきりと頭に納まってくれます。ここまで来てはじめて、それまでの努力が模試などで点として現れてきます。


  これと関連して、私はよく生徒に「勉強というのはダムの水を貯めるようなものだ」というたとえ話をします。ダムというのは、半分の水位まで水が貯まったから半分の電気が起こせるというものではありません。8割位まで貯まって、それを一気に放出することによってエネルギーとして使うことができます。A君の例で言えば、1回目の勉強が終わった時点では、せいぜいダムの水が1割か2割くらい貯まった程度です。空(から)のダムに、はじめて水を入れるときというのは溜まる分よりも、地中に吸い込まれていく水もあり、見た目の水量はあまり増えません。それが2回目、3回目と重ねるうちに急激に深さを増して行きます。試験の点として顕在化させるには、一度、一定水準以上のところまで貯める必要があるのです。


  あるところまで溜まると、指数関数のように、途中から急に上昇し始めます。大抵の人は、1回目が終わった時点、つまり1、2割くらい水が貯まったときの模試では無理ですが、もう少し続けて、2回目、3回目までやってから受けた模試は、それまでとははっきり差が出てきます。


  この事実を知らないため、模試の結果に落胆し、せっかく続けてきた勉強を数ヶ月中断してしまいます。これでは溜まりかけていた水を蒸発させてしまい、また空(から)のダムに一から水を貯めるようなことをしなければなりません。1回目が終わった時点で間を開けずに、2回目、3回目と続けていればかなりの水位まで達したのに残念なことです。


  このA君の例は決して特殊なものではありません。大半の受験生がこれに近いようなことをやっているのです。特に苦手科目を征服する場合は、このようなことになりがちですので、しっかり自覚してからはじめてください。中国のことわざに「九仞(じん)の功をいっきにかく」という言葉があります。 井戸を掘っているとき、だいぶ深くまで掘ったはずなのに一向に水が出ないため、そこであきらめ、掘るのを止めてしまいます。実際はもうちょっとだけ掘り続ければ水がわき出してくるのに、直前で止めたため、それまでの苦労が水泡に帰するということになってしまいます。頑張って続けてきたのでしたら、とにかく結果が目に見える形で出るまで、中断することなく続けて下さい。それなりの時間をかけて成果が出ない受験勉強などありません。顕在化するまでの時間数は個人差がありますが、途中で投げ出さないで続ければ必ず成果は現れてきます。自分であきらめた時点で終わってしまいます。


  「基礎を徹底させる」「その分野の最も本質的なところを深く掘り下げて理解させる」というところが「ダム造り」です。しっかりしたダムさえ造ってあげたら、あとは勉強量に比例して、成績は上がっていきます。ところがダムもできてないようなレベルなのに、水だけを入れようとしている受験生が大勢います。


 今この文を読んでいるあなたが、自分にはまだダムもできていない状態だと思うのであれば、何をさしおいてもしなければならないのは頑丈なダム造りです。この部分は残念ながら自分で行うのは少々やっかいです。あなたにダムの設計ができますか?ダム造りに必要知識はあるでしょうか。これは無理です。なぜなら、教科書に載っているレベルの問題と入試問題との間にはどのくらいの差があるのか、そしてそこを埋めるにはどうすればよいのかといった技術的なことを知らないからです。これはあなたの責任ではありません。


  三輪塾では中学、高校あわせても15名までしか入っていただけないのは、一人一人に合ったダムを作るための地形や地質などを考慮し、その工事に掛けられる日数、体力、その他諸々の条件を考慮し、そのつど設計図を描き直す必要があるからです。どれほどよくできた教材であっても、万人に有効とはなり得ません。  このような作業は作る側(教える側)にとっては大変手間も暇もかかりますが、これをしないことには、「砂上の楼閣」になってしまいます。  三輪塾が1980年から過去30年間、中学入塾組の生徒で京都大学、大阪大学、神戸大学、及び医学部・法学部を受験した生徒が100%合格しているのは、この土台をしっかり作ってあげられるからです。

 
 
 

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